建設業法に基づく許可のことを言います。建設業を行う場合、原則として必要となりますが、必須というわけではありません。近年では社会保険への加入義務があるのに加入していないところには許可がおりません。
■そもそも建設業をする際になぜ許可が必要なのか?ちょっと考えてみればわかります。何の知識も技術もない人が橋を架けたり、高層ビルを建てたらどうなるか。怖いですね。社会に大きな影響を与えてしまいます。人命にもかかわります。ですからちゃんと技術もあり、資金的にも余裕のあるしっかりした会社でないと建設業はさせないということになっています。資金的な余裕など関係ないじゃないかと思われるかもしれませんが、資金的に余裕がないと手抜き工事をしたりする可能性があるわけです。建設業法第1条で「建設工事の適正な施工を確保し」と書いてあるのはそういう意味です。
■許可については、建設業法に次のように書かれています。面倒ですが、我慢して読んでみて下さい。
(建設業の許可)
第三条 建設業を営もうとする者は、次に掲げる区分により、この章で定めるところにより、二以上の都道府県の区域内に営業所(括弧内省略)を設けて営業をしようとする場合にあつては国土交通大臣の、一の都道府県の区域内にのみ営業所を設けて営業をしようとする場合にあつては当該営業所の所在地を管轄する都道府県知事の許可を受けなければならない。ただし、政令で定める軽微な建設工事のみを請け負うことを営業とする者は、この限りでない。
■読んで頂けると分かりますが、建設業をしようとする場合は原則許可が必要です。しかし、ただし書以下を読みますと、「軽微な工事しかしない場合は必要ないよ」と書いてあります。
建設業法施行令に決められています。
■「政令で定める軽微な工事」とありますが、ここでの政令とは建設業法施行令のことを言います。
■施行令には次のように書いてあります。
法第三条第一項 ただし書の政令で定める軽微な建設工事は、工事一件の請負代金の額が建築一式工事にあつては千五百万円に満たない工事又は延べ面積が百五十平方メートルに満たない木造住宅工事、建築一式工事以外の建設工事にあつては五百万円に満たない工事とする。
■枠組みとして建築一式とそれ以外の2つに分けて考えます。許可が必要ないのは、
①建築一式の場合・・・1500万未満の工事又は延べ床面積が150平方メートル未満の木造住宅工事
②建築一式以外・・・500万未満の工事
ということになります。ですからウチは管工事で500万を超えるようなことはない、という場合は建設業の許可がなくても堂々と仕事ができます。
■建築一式の場合、例えば2000万で、延べ床面積が100平方メートルの木造住宅工事を請け負った場合はどうなるのでしょうか?許可が必要でしょうか?これは必要ありません。「又は」と書いてありますから、一方を満たしていれば問題ありません。
一般的には県の「土木事務所」と呼ばれている役所になります。県によって呼び方が異なる場合もあります。
■福岡県の場合は「土整事務所」と呼ばれています。県によって、受付時間の制限があったり、予約制の場合もありますので事前に確認すべきです。
建設業の許可は建設業の種類毎に与えられます(業種別許可制)。
■一口に建設業と言っても非常に多くの分野があります。土木、大工、左官、屋根、電気、管・・・それぞれに専門性があり、必要とされる技術も異なります。ですから一緒くたにできません。
■建設業の許可はそれぞれの種類(全部で29)毎に審査がされます。土木一式の許可を持っているからといって、電気の許可もタダでくれる、ということはありません。
■一つの会社で複数種類の許可を取ることが可能ですが、それぞれの種類毎に要件を満たす必要がありますので、むやみに多くの種類を取ればよいというわけではありません。種類を多くすればその分書類や事務作業も増えると考えて下さい。
建設業の許可を取得する理由の多くは入札目的ですが、元請会社からの要請を受けて取得する場合、信用力をつけたい、など取得に至る理由は各社さまざまです。
■建設業法施行令に記載してある金額的な要件を超えそうになったから取得する(例えば土木一式で500万以上の仕事を受注する可能性が出てきた、など)という消極的な理由で取得される場合も勿論ありますが、多くは積極的な理由に基づくことが多いと感じています。
■公共工事の入札に参加する場合は、建設業の許可は必須です。そのために許可を取得する方も多くいらっしゃいます。
■元請会社からの要請があって、建設業の許可を取得したいと考える会社も多くあります。大手の元請会社ですと、許可があることを当然と考える風潮がありますので、法律上問題がない金額の発注をする場合であっても建設業の許可を暗に求める場合が多いと思います。やはり建設業の許可があるところに下請を出したいと考えるのは当然のことです。
■特に誰からも要求されていない場合でも、「ウチは県の許可をもらっている」と言えるか言えないかは大きな違いとなります。許可を得ていればホームページにも許可番号を掲載することができます。お客様からも信頼を得やすくなります。
建設業の許可を取得するにはいくつも要件を満たす必要があります。そのうち、大きな関門となるのは3つの要件です。まずは経営業務の管理責任者。
■まずは経営者(=経営業務の管理責任者といいます)そのものの要件です。建設業の経営者として5年の経験が要求されます。これが原則。当然ですが、土木一式の許可を申請するなら、土木一式の個人事業又は会社の経営者として5年の経験が必要です。電気工事で5年の経験があったとしても、ダメです。土木一式の許可が取りたいなら、土木一式の5年の経験が必要なのです。
■しかし、例えば大工工事を個人事業主として20年やっていた場合、経営者としての経験や知識については問題ないと考えるべきでしょう。ですから申請する種類と、建設業の経営者としての経験がある種類が異なる場合は6年あればOKという扱いになっています。つまり自分は大工業で6年の経営経験があるが、今回は建築一式で許可を取りたいという場合はOKだということです。種類が異なっている場合は6年必要と覚えて下さい。
■経営者自身がこの要件を満たせない場合は、建設業の許可を取得することはできないのでしょうか?答えはノー。次のような場合は許可を取得できます。
①個人事業主の場合は、かつて経営者であった人を支配人として常勤雇用し、経営管理業務をしてもらう(支配人というのは俗語ではなく、会社法上の支配人を言います。法務局で登記をする必要があります)。
②会社の場合、経営者として5年以上経験のある人を取締役として迎え、経営管理業務をしてもらう
当然ですが、「形だけ」というわけにはいきません。実際に常勤として勤務しないといけません。
■この要件が満たせず、年単位でお待ちいただいているお客様もいらっしゃいます(仕方ありません)。
■個人の方の場合ですと、5年分の確定申告書の控えや契約書などの書類(実際に建設業をしていたことを証明するため)が必要になります(提出しなければなりません)。確定申告そのものをしていない場合は、遡って申告するか、5年待つしか方法がないと考えて下さい。許可申請というのは書類で進めていきます。口頭で、いくら建設業をやっていたと言っても受け付けてもらえません。
建設業の許可を取得するための大きな関門・・2つ目、財産上の要件です。
■次は金銭的な要件です。建設業は請負金額が大きいのが普通です。例えば1000万の受注をした場合、完成までに材料費や人件費を立て替える必要があります。どんなに少なくても600万や700万の立替が必要になります。前受金でもらえれば別ですが、完成検査後に入金のような場合ですと、資金力がないとそもそも受注することもできません。
■資金力がないと材料をケチったり、手抜きしたりということに繋がりますから、相応の資金(調達)力があることが建設業許可の条件になります。
■ズバリ言いましょう。必要なのは500万円です。500万円の金融機関発行の残高証明書があれば、何の問題もありません。
■福岡県の場合、申請日前1か月以内の日付の証明書でないと、受け付けてもらえません。
建設業の許可を取得するための大きな関門・・3つ目、専任技術者です。
■最後は技術者(専任技術者)の要件です。技術者のいないところには許可を出しません。技術はどのようにして証明するのでしょうか?基本的には資格になります。申請する建設業の種類に応じた資格が必要です。土木一式の場合は、一級(あるいは二級)土木施工管理技士の資格といった具合です。
■「専任」ですから、常勤の人でないと認められません。営業所に常勤している人、ということになります。ずっと事務所にいる、というイメージです。
■専任技術者がいわゆる現場代理人(主任技術者)と兼務することは可能か、という問題がありますが(現場代理人は現場に常駐していなければならないため)、現場と営業所が極端に離れておらず、連絡が取れる状況であれば、問題ないという扱いになっています。兼任の問題は複雑で、発注者(自治体)によって扱いが異なることもありますから、許可を取得する前に確認すべきです。
■建設業の種類毎に必要な資格は定められています。
■資格がなくても立派な技術を持っている方もいます。そういう方に許可を出さないというのでは理屈が通りません。そういう場合は実務経験で技術を証明することになります。10年の経験が必要です。実務経験は第三者(建設業許可業者)に証明してもらう必要があります。
■建築科などを卒業されているような場合は、実務経験が短くて済む場合(3年や5年)があります。
■経営業務の管理責任者と専任技術者は兼ねることができます。
許可取得後に許可申請時の内容が異なった場合に必要になります。入札に参加している方は、毎年決算後の変更届が必須となります。
■入札をされている方は、決算が終わるたびに変更届が必須となります。変更届を提出していないと、経営審査を受けることができません。
■入札をされていなくても、毎年の決算変更届は提出するのが原則です(県によっては変更届を提出していないと更新を認めないところもあります)。
5年です。
■5年ですが、実際は、有効期間の1か月前までに更新申請書類を提出しなければなりません(異なる県もあるかもしれません)。
更新を忘れますと、また最初から新規で取得しなければなりません。更新を忘れないよう注意しましょう。
■更新の場合は書類を省略したりできる場面が多くあります。新規よりも手数料も安くなっています。忘れると最初からやり直しで、高い手数料(9万円)も払わなくてはなりません。注意しましょう(県によってはお知らせがくるところもあります)。
お客様から建設業許可申請(新規)のご依頼を受けた場合の流れをまとめてみました。
まずはお客様がどのような業務(どのような建設業)を行っていらっしゃるのか、詳しくお聞きします。許可取得の目的についてもお尋ねします(入札の予定があるか否かは重要な違いになります)。
取得したい建設業許可の種類についてご希望をお聞きします。
許可が取得できそうか否か、大まかに判断いたします。
許可が取得できそうであれば、取得までの計画(日程)、大まかな費用をお見積もりします。
多少問題があると思われる場合は、当方で県の担当窓口で折衝を行い、許可が取得できそうか否か確認いたします。
書類を作成し、提出。
約2か月ほどで許可通知書が発行されます(県によって異なります)。
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