■労働基準監督署には労働基準監督官という人がいます。労働基準法違反の事業所があるかないかを調査し、違反あればこれを是正させる人です。
(労働基準監督官の権限)
第百一条
労働基準監督官は、事業場、寄宿舎その他の附属建設物に臨検し、帳簿及び書類の提出を求め、又は使用者若しくは労働者に対して尋問を行うことができる。
○2 前項の場合において、労働基準監督官は、その身分を証明する証票を携帯しなければならない。
■労働基準監督官は事業所を訪問して、基準法違反があるかないかをチェックします。監督官が来ることを「臨検」と呼んだりします。数ある事業所からどうやって訪問先を決定するのか?これは公表されておりません。よく言われている理由としては、次のようなものがあります(あくまで推測に過ぎません)。
1.「申告」があった場合。つまり社員が「残業代もらえないんです」などと監督署に訴えた場合です。この場合は必ず調査があると考えて下さい。
2.監督署が何らかの理由で抽出した場合。例えば、飲食店は長時間労働が多そうだから、残業代を払っていない可能性が高いのではないかなどと考えて重点的に特定業種を調査するような場合です。
★監督官に調査に来た理由を尋ねても答えてくれることはありません。
■監督署による調査の結果、違反とまでは言わないが、こういう風にした方がより好ましいと思いますよ、という場合は「指導票」という書類を交付されます。是正勧告よりは軽い、と考えて下さい。
★指導票には、「あなたの事業場の下記事項については改善措置をとられるようお願いします」と書かれています。あくまで「お願い」です。
■指導票であっても、改善状況を報告しなければなりません。簡単に考えることは禁物です。
■是正勧告書を渡される場合というのは、「指導票」とは異なり、明確な労働基準法違反、労働安全衛生法違反、最低賃金法違反があると認められた場合です。監督官としては見過ごせないという判断をしていることになります。是正勧告書を渡されるということは、重大な事態です。軽く考えて放置したりすることは絶対にやってはいけません!
■是正勧告とは、この名前のとおり、「是正するよう勧告します」という意味になります。勧告ですから、お勧めであって強制ではありません。是正勧告に従わないということも理論上はあり得る話になります。
■ただ一般的には、是正勧告書の内容に従って是正措置を行い、違反状態を解消するのが普通です。
■残業代の未払いや最低賃金法違反の場合は、未払い額を遡って支払うことになります。振込したことを証する書類や領収書の提出を求められます。既に退職した人に対しても支払を求められます。賃金の未払いは重大な違反なので、見逃してくれることは絶対にありません。
■何度も是正勧告を無視したりすれば、監督官は、労働基準法違反、あるいは労働安全衛生法違反として、書類送検をすることになります。
★是正勧告書には「・・・送検手続をとることがあります」と明記されています。
■書類送検されれば、刑事被告人として裁判所に出廷しなければなりません。
■書類送検されることは珍しくなく、毎年のように多くの経営者(会社)が書類送検されています。有罪になれば立派な犯罪者となります。
★東京都の送検事例
■社会保険労務士は調査の際、事業主を代理して労働基準監督署と交渉します。指摘された各種書類を作成、提出は勿論のこと、どのように是正したかを報告する書類も作成します。税務調査における税理士の役割と考えて下さい。税務調査の場合は税理士に依頼することが多いと思いますが、監督署の調査の場合は社会保険労務士に依頼することは少ないと思われます。これは事業主が監督署の調査を軽く考えているからであろうと推測します。
■労働基準法の知識がない状態では、当然ですが、監督署に言われたままになります。是正勧告書を手交された後、どうしたらよいかという相談を受けることが多くありますが、実態を調べると、実際は是正勧告書で指摘された事項とは異なる事実が発覚する場合もあります。そのような場合、是正勧告書を覆すことは極めて難しくなります。
■調査のときに立ち会ってもらうこと。できれば調査の前に社会保険労務士に違反があるかないかチェックしてもらうことが極めて重要になってきます。
■監督署の調査により指摘される違反事例は次のようなものです。
・雇用契約書(労働条件通知書)を作成していない
・36協定を締結せずに時間外労働をさせている
・いわゆる残業代を払っていない
・賃金台帳がない、賃金台帳に必要な記載がない
・出勤簿がない
・労働者名簿がない
・最低賃金に達していない(最低賃金法違反)
・常時10名以上いるのに就業規則を作成、提出していない
・健康診断を受けさせていない
■是正勧告で指摘されるような事項は、すべてと言っていいほど日頃からきちんとやっていれば指摘されずに済むような事項です。
■最も重大な影響はいわゆる残業代の未払いを指摘された場合です。
■3か月や半年、若しくはそれ以上の期間に亘って、遡って残業代を全社員に対して支払う義務が生じますので、会社の経営に重大な影響を及ぼします。「潰れてしまう」などと言う方もいますが、違反は違反です。そのような抗弁は認められません。
■賃金未払いの場合、少ない人数でもすぐに数十万円程度になります。少し人数がいるとすぐに数百万、ある程度の規模がある事業所ですと、一千万単位になります。
■税務署を怖がる人は多いのですが、監督署を怖がる人は多くありません。理由は簡単です。税務署は金銭的な支出が生じるが、監督署は金銭的な支出は生じないと思いこんでいるからです。しかし、事実は異なります。中小企業が、税務調査で数百万も追徴されることは珍しいですが、監督署の調査により数百万の未払い賃金を指摘されることは珍しくありません。これは脅しではなく事実です。
■労働時間などに関する自主点検結果報告書などという書類を提出するように、というお知らせが来ることがあります。FAXでも提出できるものです。
■これはどういうものでしょうか?これは立派な調査です。自主点検などという言葉に惑わされないように。適当に書きますと、「ウチは労働基準法に違反してますから調査に来て下さい」と自主申告していることになります。
■監督署から来る書類に軽いものはありません。簡単に考えると大変なことになります。ご相談下さい。
監督署から電話がかかってきた場合、調査があった場合、呼び出された場合、社長様に代わり、対処します。
■労働基準監督署から呼び出し対応(同行可。社長様に代わって説明します)
■労働基準監督官の調査等への立ち会い(当然、是正勧告にも対応します)
■労働基準監督署の調査対応(準備、当日、事後の対応も致します)
■36協定作成提出(作成・提出せずに時間外労働させると違法です)
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